トランスフォーマー・キスぷれ

第44回放送 2007年2月6日



 今回は、シャオシャオが担当。冒頭には恒例3人全員登場。トランスフォーマーVからG2の時代までを一気に駆け抜ける。


●エピソード概要

 唐突に、当梨に向って、おねしょして叱られた事があるかと問い詰める、メリッサとシャオシャオ。当梨を弄って楽しむ2人を、当梨の声が遮る。そこには、地球に向って進む巨大な要塞の姿があった。

 シャオシャオは、その巨大要塞のことを歴史の教科書で知っていた。それは、50万年前にスターセイバーが暗黒星雲に封じ込めた、デスザラスの巨大要塞だったのだ。しかし、ここは50万年前の世界では無い。ザンゲツ曰く2025年の地球だという。この未来世界で何が起きたのか、シャオシャオはザンゲツと共に要塞に向った。
 あまりにも巨大なこの要塞は、デスザラスの巨大要塞が復活したものだった。そして、その侵攻を阻止しようとする、スターセイバーの姿もあった。ライオンロボと合体して要塞に突入しようとするスターセイバーにキス! オールスパークのかけらの回収完了。 と思った途端に、周囲の空間が歪む。また時間移動が始まった。

 次にシャオシャオ達が現われた場所には、巨大なブーメランを振りかざす青いトランスフォーマー、ダイアトラス総司令官が居た。ここでもキス!回収完了。と思ったら、また時間移動が。

 さらに未来の世界では、シャオシャオが知っているよりも遥かに巨大な姿のコンボイ、スターコンボイが居た。シャオシャオにとってメリッサを奪った宿敵であるコンボイにキスしなければならない屈辱に激しく抵抗するが、結局キス!回収完了。これで終りかと思いきや、さらに未来へ移動が始まった。

 今度はブラックホールから出てくる黒いコンボイ、スーパーコンボイの姿が。またもやコンボイへキス! そして時間移動は続く。

 次は、セイバートロン星でメガトロンと仲良く肩を組むコンボイ、アクションマスター・コンボイにキス! まだ続く時間移動。

 ここは、マートン星雲第17区。紫色のメガトロンと戦っているのは、またコンボイだ! キス!そしてキス!

 連続で宿敵コンボイとのキスを繰り返したシャオシャオは、息も絶え絶えに任務完了。


■2025年〜

 今回は、連続で時間移動を繰り返しているが、最初に登場したのは、「トランスフォーマーV(ビクトリー)」の時代。地球へ侵攻するデスザラスの巨大要塞との戦いは、実質的な最終回である第37話「激突!要塞vsビクトリー合体」からの引用。ライオン型ロボットは、スターセイバーと合体してビクトリーセイバーへパワーアップするパートナーのビクトリーレオ。冒頭の「おねしょして叱られましたか?」は、本作のエンディングテーマ「サイバトロンばんざい」の歌詞から。

 今回のドラマでは、トランスフォーマーVの年代を2025年としているが、実際にはアニメ本編でも、当時の雑誌展開記事の中でも設定年代は語られていない。では、何が根拠になっているかと言えば、当時のアニメ情報誌「月刊OUT」に掲載された新番組紹介記事にこの「2025年」という記述が出てくる。ただし、他の媒体では一切出てこない設定である事から、企画書や初期設定等の記述を参考にした、最終的に採用されなかった設定という可能性も考えられ、そのまま公式設定と解釈するには一考の余地があるだろう。また、同記事内では、超神マスターフォースで起こった戦いを「デビルウォー」と呼称しており、これも他の媒体では見られない。この記事が掲載された前後の公式な雑誌展開等では、この戦いを一貫して「マスターフォース戦争」と呼称しており、これもこの月刊OUTの記述の公式性を疑わしくする要因となっている。ただし、仮にもアニメ情報誌に掲載された内容なので、なんらかのソースを元に記述されたであろう事は疑い無く、その意味では仮に初期設定の類だったにせよ、貴重な情報である事は間違い無い。

 ドラマ中、次に訪れた時代は、ダイアトラスが登場する「トランスフォーマーZ(ゾーン)」の時代。巨大なブーメランは、ダイアトラスの背中の翼を取り外して変形させたゾーンパワードカッターだ。形状自体が完全に変化する為、玩具では再現できないが、たまたま等間隔にモールドされた翼の両端の突起を利用して、それらしい形に組み合わせる事はできる。この形態は、書籍「トランスフォーマージェネレーション」にも掲載された。

 その次に訪れたのは、コンボイの復活した姿であるスターコンボイが活躍する時代。この時期から、しばらくの間はアニメは製作されておらず、主に雑誌記事で展開されている。

■G2とその前史

 次のスーパーコンボイ、アクションマスターコンボイとそれに続くG2の時代に関しては、今回のドラマでは、かなり大胆なキスぷれ独自の解釈が盛り込まれている。

 話が前後するが、まず、アクションマスターとは、非変形のアクションフィギュアとして海外では1990年に発売されたシリーズ。本来は、日本では発売されなかった商品で、当然いわゆる「正史」には登場しない。それが何故、今回歴史の一片として、しかも、メガトロンと肩を並べて登場したかについて説明しよう。
 G2時期の雑誌展開では、G2に至るまでの前史が新たに設定されており、それによると、メガトロンは前大戦での敗北(1991年度のスターコンボイとウルトラメガトロンの戦い)で、邪悪な心を司る回路が消滅してしまい、コンボイと共に「セイバートロン連合」を結成し、平和の為に活動していた。しかし、平和の為に地球に送った使者が誤解により殺されてしまった事件をきっかけに、宇宙の真の平和は自らが支配する事によって達成されると考えるようになり、再び侵略戦争を開始したとされている。
 このストーリーが掲載された際に、イラストに描かれていた、セイバートロン連合時のコンボイが、アクションマスター版のディテールと配色だった事が今回の元ネタになっている。恐らく、本来はアクションマスターという設定で描かれた訳では無く、単に作者の趣味(イラストは、吉岡英嗣氏。)を反映した遊びだったのだろうと思うが、今回のキスぷれドラマでは、これを明確にアクションマスターだったと解釈し、セイバートロン連合の時代の姿として定義した。だからこの時代では、メガトロンと仲が良かったである。

 次に、そのセイバートロン連合の時代の前に登場した黒いコンボイだが、これは2001年に発売された、復刻版ゴッドジンライから派生した限定商品「ニュークリオンクエスト・スーパーコンボイ」を指している。このスーパーコンボイは、ブラックホール内に存在する超エネルギー・ニュークリオンを採取する為に、ブラックホール内で活動可能な装備を施したコンボイという設定だった。ニュークリオンとは、先のアクションマスターの海外での設定で登場する物質で、これを摂取すると、超パワーと引き換えに変形能力を失うという効能がある。これまでは、アクションマスターは日本の正史には登場しない為、ニュークリオンクエスト・スーパーコンボイの設定も宙に浮いた形だったが、今回、アクションマスターを歴史に取り入れた事で、その前段階として、ニュークリオンを採取する為のスーパーコンボイを表舞台に登場させる事が可能になったのである。

 尚、ニュークリオンクエスト・スーパーコンボイは、前回解説した、超神マスターフォースの設定上に存在するスーパーコンボイとは設定的な関連は無い別物だが、もしかしたら、前回のドラマで「元々はコンボイの為に作られた」としたのは、この黒いスーパーコンボイとの関連性を持たせようとした為なのかもしれない。

 セイバートロン連合の時代の次に来るのが、G2の時代。マートン星雲第17区は、バトルコンボイの玩具設定に登場する地名でコンボイとメガトロンの決戦が行なわれた地である。ここでG2版のコンボイ(ミサイルトレーラー)は、バトルコンボイへと再構成される。今回のドラマでは、特に説明されていないが、キス音が2回入っているので、コンボイからバトルコンボイへの再構成の前後で2回キスをしてオールスパークのかけらを2個回収したものと思われる。紫色のメガトロンとは、もちろんG2版メガトロン(ミサイルタンク)の事だ。

 アクションマスターやスーパーコンボイという追加はあったが、今回でG2までの全ての総司令官キャラクターからオールスパークを回収した事になる。次回からはビーストウォーズの時代に突入する模様。

■セイバートロン星の復興

 G2の展開時期、セイバートロン星の名前が雑誌記事等で再び散見されるようになる。とはいえ、明確にセイバートロン星を舞台にしたと言明するような描写は無く、設定の中に思い出したように登場する程度で、本格的な再登場はビーストウォーズを待つ事になる。セイバートロン星がどの時代に復興したのかは不明だが、少なくとも、スターコンボイのパッケージの裏面に描かれた活躍想像図の背景が明らかにセイバートロン星を意識したものになっており、G2の雑誌記事では、このイラストが過去にセイバートロン星で活躍した時のコンボイ達として掲載されている。今回のキスぷれドラマでは、セイバートロン連合の時代にその名前が登場しているが、復興に関しては特に説明はされていない。

 「おしえてTF情報局」では、今回登場した関連の玩具として、スターセイバー、スターコンボイ、マイクロトランスフォーマー(レスキューパトロールチーム)、バトルコンボイ等が紹介された。
 番組のラストは、降板した山崎正彦が復活。2月25日のワンダーフェスティバルで限定販売される、ブラックコンボイを宣伝していった。

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