トランスフォーマー・キスぷれ

玩具製品・フィギュアコレクションあたりに付属のドラマCDレビュー。


 フィギュアコレクションあたりに付属のCDは、前作コンボイxメリッサ付属のCDと同じく、ラジオドラマの採録5本(第6〜10回)と新録ドラマ及び、主演声優のメッセージで構成される。

 新録ドラマの『あたりちゃん危機一髪!?』は、縮小したオートルーパーが活躍するエピソードで、登場声優は、あたり役の明坂聡美と、今回が初登場となる、オートルーパー役の平井啓二、さらにレギオン役で田中大文が参加している。キスぷれドラマで、ひとつのエピソードに3人の声優が登場するのは、これが初めて。

 ドラマは、完全にナンセンスコメディとして描かれており、ストーリー展開やキャラクター描写はギャグ漫画的な要素が強い。ひとつひとつの描写を考察するのは無粋というものだろう。


●『あたりちゃん危機一髪!?』エピソード概要

 ある朝、朝食を食べていたあたりは、突如腹痛に見舞われた。どうやら、オムレツの中にレギオンが入っていたようなのだ。オートルーパーは、あたりを救う為に、キスをして新しい力を発揮する。極小変形したオートルーパーは、あたりの中に飛び込んだ。

 オートルーパーは、食道から胃袋へ向う途中レギオンに遭遇。戦いが始まった。

…大騒ぎの末に、レギオンはあたりの胃液の中に沈んだが、もはやオートルーパーにはエネルギーが残っていない。このままでは、あたりの体内で元のサイズに拡大してしまうのだ。パニックを起こすあたりに、最後の手段としてトランスワープを使うと宣言するオートルーパー。

 あたりを落ちつかせる為か、自分が目指すのは何かと問うオートルーパー。あたりは、全てのレギオンを退治して、あの空の両親に安らかに眠ってもらいたいと言う。

 そこですかさずオートルーパーの次の指示が来た。その空を差した指を自分の喉に突っ込めと。

 見事にトランスワープに成功したオートルーパーだが、空にはあたりの罵倒の声がこだまするのであった…。


■極小変形

 ラジオドラマ第21回に続き、玩具同様の小型サイズになったオートルーパーが活躍するが、今回の劇中では初めてオートルーパーの縮小を目の当りにするという描写になっている。ラジオドラマ第21回では、「以前の出来事」としてオートルーパーが縮小した事が語られているので、このCDドラマの後日談とも解釈できる。
 劇中では、どの程度のサイズにまで縮小されたのかは判らないが、今回はコメディとして描かれているので、そういった考証は必要無いだろう。また、オートルーパーが縮小するプロセス自体を「極小変形」と呼んでいるのがひとつのポイント。
 今回登場したレギオンは、形態等一切不明で、どうやってオムレツの中に潜んだのかは勿論、わからない。

 ドラマ本編では、特に目新しい設定やストーリーの進展は無かったが、付属の解説書にはいくつか興味深い記述が記されている。
 それによれば、あたりを含む全てのキスプレイヤーは、2005年に突如としてその能力が開花したのだと言う。あたりは、その際に一度EDCにスカウトされたが断ったとの事で、漫画版キスぷれ第1回で、天桜司令官があたりの事を以前からキスプレイヤー能力の持ち主だと知っていた描写にも符合する。
 2005年にキスプレイヤー能力が発現した理由は不明だが、キスぷれ世界では、2005年にユニクロン戦争と同時に地球で何らかの事件が起って、人類とトランスフォーマーの関係が悪化したとされている。これらの設定とも関連付けられるのかもしれない。

 パッケージには、E.D.C.のフルスペルが記載されているが、それによると“EARTH DEFENSE COMMANDO”となっている。本来、旧作アニメでは“COMMANDO”では無く“COMMAND”の筈だが、誤植なのか意識的な変更なのかは不明だ。1文字違うだけだが、意味も違ってくるので、疎かにはできない。

■CD収録順

 今回の製品パッケージには、「お詫びと訂正」としてCDの収録順序とレーベル記載の順序が異なる旨の注意書きが入っている。レーベルでは、「新録ドラマ→声優メッセージ」の順になっているが、これは誤りで、正しくは逆の「声優メッセージ→新録ドラマ」の順番の収録だと記載されている。しかし、メッセージ内容や前作のCDドラマの構成から見て、本来はレーベル記載通りの「新録ドラマ→声優メッセージ」の順になるのが正しい筈。つまり、収録順番そのものを間違ってしまったのをレーベルの印刷ミスという体にして誤魔化しているのだ。実際に聞いてみると明らかに内容の順序がおかしな事になってしまう。

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